AX 電車でGo“東京湾釣り日記” 場違いの話題
今日は、釣りとは全くかけ離れた場違いの話です。
昔の本を整理していたら、古い一冊の文庫本が出てきました。
50年以上も前に読んだ懐かしい本です。
私が若い頃に強い影響を受けた本です。

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武者小路実篤著の「人類の意志について」

一言でいうと、「快は善なり、苦は悪なり」
快を求めて生きれば、自然に人類の意志に従った生き方が出来るという人生論です。

快を求めると言っても、実はこの本は奥が深いんです。

私なりに解釈すると、だいたい次のような内容です。

ミミズは土の中に住んでいる。
鳥は木の上に住んでいる。
これは、ミミズは地上に出ると日に当たって干からびてしまうから、苦しいのを我慢して土の中に潜っているわけではない。
彼にとっては、この場所が最も居心地が良いのだ。
鳥が木の上に住むのも、そこが居心地が良くて、生きていくのに便利だからだ。
居心地の良い場所を求めれば、自然に自分が生きるのに最適な場所にたどりつくのだ。
「ミミズは土の中で生きなさい」、「鳥は木の上に住みなさい」というのが、生き物を造った自然(神さまかもしれない)の意志なのだ。
ミミズは土の中を快と感じ、鳥は木の上が快であるように造られていて、快を求めれば、自然に彼らをつくったものの意志に従うようになっているのだ。

人間を造った自然(あるいは神)は人間をどのように生かそうとしているのか。
武者小路実篤はこれを人類の意志と呼んでいます。
自然の意志、つまり人類の意志に従って生きることで人間は幸せな生き方が出来る。
そして、「快」と「苦」の中に人類の意志を知る鍵があるというのです。

人間が肉体的苦痛を感じるのは、健康を損ねている時だ。
もし、身体のどこかが悪くなっても、苦痛を感じなければ悪いことに気が付かず治そうとしない。
苦痛を感じるから、それを治そうとする。
つまり、苦があることによって、肉体を健康に保つことが出来るのだ。

肉体だけではなく、精神も同じしくみになっているはずだ。
精神的な苦痛を感ずるのは、どこかに不健康や、間違いなどがあるからだ。
苦は人類の意志に反する生き方への警鐘なのだ。

人間は(他の動物も同じだが)食欲がある。
美味いものを食べる事は快である。
これは生命を維持するためだ。
しかし、食欲が満たされると、それ以上食べようとすると不快に変わる。
それは、食べすぎて健康を害さないようにするためだ。

心の快と苦についても同様である。
親切には快を感じ、不親切には不快を感じる。
美には快を感じ、醜には不快を感じる。
仲よくすれば快を感じ、争えば不快になる。
成功は快であり、失敗は苦である。

これらの快と苦を通して、人類の意志を知ることが出来る。
ここで大切なのは、人類の意志から見れば「快」は手段であり目的では無いということだ。

例としては、性の快楽がわかりやすい。
自然が人間に性の快楽を与えたのは、楽しませることが目的ではない。
種の保存が目的である。
自然から与えられた快を楽しむのは悪いことではないが、快だけを追求し子育ては放棄するとなれば、それは人類の意志に反し、人類は不幸へと向かってしまう。

自然の発する、「快」と「苦」に静かに耳を傾ける。
そして・・・・・
「苦」に出会ったとき、自然はその「苦」を通じて自分をどこへ導こうとしているのかを考える。
「快」を求めるとき、自然はその「快」を通じてどんな生き方をさせようとしているのかを考える。
人類の意志を考えながら、「快」を求め「苦」と闘う生き方をすることによって、個人は幸福が得られ人類は理想の世界に近づいていく。


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我流の解釈なので、正確ではないかも知れませんが、若き日の私に生き方に指針を与えてくれた一冊でした。

cocoさんは、釣り大会のスケジュールの中にいつも「釣り場のゴミ拾い」を入れています。
ゴミを拾うと、何故か心に「快」を感じます。
これが、自然の意志、人類の意志なんですね。

ゴミを捨てる人。
心のどこかで、かすかに痛みを感じているとしたら、人類の意志を感じるセンサーが働いているんだろうと思います。

今の時代は、快的、快感、快楽、「快」が生きる目的になってしまっている感がありますが、人間に何故「快」と「苦」が与えられているのかを考えて見る事も必要かもしれません。

場違いの話題で失礼いたしました。

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コメント
ジョニーおろにや さんへ
私がこの作品を読んだのは、17~18歳位の頃だったと思います。
それをきっかけに、武者小路実篤の作品はほとんど読みました。この本を読んでから他の作品を読むと、実篤の思想が良くわかるような気がします。今の若い方は実篤なんか知らないのではないかと思っていたんですが、読んだことがあると聞いて嬉しくなりました。
2011/10/08(Sat) 08:46 | URL | 川越の魚人 | 【編集
こんにちわ。
武者小路実篤ってこんな本も書いてるんですね!!
僕はこの方の作品で「友情・初恋」を呼んだことがあります。
どこか自分の考え方に通ずるなぁと感じたので本屋で見つけたら読んでみようと思います♪
こういった「抽象的概念」について考えるのは僕は好きです。
2011/10/08(Sat) 00:24 | URL | ジョニーおろにや | 【編集
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